ニコニコ動画の問題点から生まれる新機能その3:プロトタイプモデル

はじめに
ニコニコ動画は新しいサービスや機能を立ち上げる度に議論が巻き起こり、インターフェースの改善を行っても、いつもユーザーからは「改悪」と呼ばれる。ニコニコ動画の新サービスや新機能は、基本的にバージョンアップする際に発表する。サービスが開始すると、ユーザーからの反発があったりするので、意見などを反映していく。これまでずっとそういう姿勢だったので、バージョンアップする度にクレームの対応などが必須だっただろう。ここでの問題は、クレームに対応しているという部分である。つまりなんらかの形で被害が発生していて、ユーザーが迷惑するような状況を運営側が作ってしまっている点だ。この記事ではこの部分をどう改善するかを考える上で、システム開発の手法のひとつであるプロトタイプモデルを元に、プレミアム会員の新たの特権を提案する。

現状の運営の開発方式は何モデル?
システム開発の手法にはいくつかの種類がある。

ウォーターフォールモデル
川の流れが上流から下流に向かって流れるように開発を進めること。ただ、現実には作業の後戻りが多く、開発開始からある程度経たないとユーザーにシステムの姿が見えないことがある。

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プロトタイプモデル
システム開発工程の早い段階で、システムの試作品を作成してユーザに検討してもらい、要求仕様や使用条件などを確認する手法である。開発終了後の仕様変更を少なくする目的で用いる。

スパイラルモデル
ウォーターフォールモデルとプロトタイプモデルの組み合わせ。分割したシステムの独立性の高い部分ごとに設計、製造、テスト、ユーザ承認を繰り返す。

機能がサービスインしている状態というのは、サービスや機能によっては実被害が発生する可能性があるので、テスト段階ではない。つまり、運営側の現在の開発方式はウォーターフォールモデル。そしてサービスが開始した後にスパイラルモデルのような方式で機能追加を行っている。

プロトタイプモデルの導入を
ゲーム開発を例に出すと、ベータテストというのが行われる。ニコニコ動画のサービスにはベータテストというステージが無い。過去に唯一あったとすれば、それは新動画プレーヤーの開発の際、プレミアム会員のみがテストできる状態にした時だった。これこそまさにプロトタイプモデルで、開発終了後の仕様変更を少なくする効果があっただろうし、人件費も削減できたはずだ。おまけにプレミアム会員限定でテストさせることで多少なりとも収益に繋げるチャンスを生んだ。この開発方式を是非とも今後の新機能開発に導入してほしい。

より早い段階でユーザーに判断させる
ニコニコアンケートを使って、ユーザーにどのようなサービスや機能が必要かを確認する。「このようなサービスはどうか、なぜダメなのか」色々な意見を瞬時に集める便利なアンケートツールをすでに持っているのなら、使うべきである。これによって、ボツになるようなサービスを無駄に開発するという失敗をある程度防ぐことができる他、ユーザーの期待度が高いものから優先順位を付けて開発することができる。

ニコニコ動画事業仕分けを生放送
これはすでに川上氏とひろゆき氏達の間で検討されていることだが、ユーザーにリアルタイムアンケートで問いかけることによって円滑に議論を進めることができるのではと思う。是非実施してほしい。

@hiroyuki_ni ニコニコ事業仕分けをニコ生で公開してやる?
http://twitter.com/kawango/status/5883213119
おぉ。面白そう。マネーの虎みたいに、企画を出してもらって、予算をつけるとかでも楽しそう。 RT @Foo_san @kawango ニコニコ事業仕分けをニコ生で公開してやる?
http://twitter.com/hiroyuki_ni/status/5884621665

ネタバレにならないか
今までは新機能を大会議などのイベントで発表することで、ある程度サプライズを用意できた。プロトタイプモデルで開発すると、それがなくなる。ネタバレになることでサプライズが減るかもしれない。しかし、そのデメリットよりも、開発効率を上げることで得られるもののほうが多いと思う。

最後に
新機能やサービスが未熟な状態でリリースされることによって、実際に被害が発生してしまうことが、過去にニコニコ生放送でも世界の新着動画などでもあった。そういう被害の可能性をある程度運営側が先読みして防止策を用意できるのなら別だが、それができないのならユーザーの意見を聞きながら開発し、完成度を高めてから発表するべきである。