ニコニコ生放送のタイムシフト機能について

はじめに


本日ニコニコ生放送に新機能としてユーザー生放送をタイムシフト予約して視聴できる機能が加わった。そして早速以下のような関連エントリーが投稿された。
ニコニコ動画の「ユーザーニコニコ生放送」が終わった件
ようするにリアルタイム性が売りのニコニコ生放送を非同期で観れるようにしてしまったら、リアルタイムで観る人が減るので生放送主がモチベーションを失くしてしまうではないかということらしい。今回は、タイムシフトでリアルタイム性が失われるかどうか、そして本当の意味でこのサービスが後退期に突入してしまうのはどのような状況かを考える

タイムシフト機能
http://live.nicovideo.jp/s/timeshift

ニコニコ生放送から離れる理由
よくある理由のひとつとしては若者のテレビ離れと同じで、リアルタイムで生放送番組を追い続けるのに疲れてしまうというというのがある。自分の場合はそうだった。一時期はユーザー生放送を録画したりしていたが、基本的に放送を観たり放送をしたりするのに時間が消費されすぎてしまったため、現在はあまり観ていない。

タイムシフトで何が変わる?
以下の効果があると思われる

  • 時間的に観れなかった番組が観れるようになる
  • ipodなどの携帯プレーヤーに入れて観れるようになる(はず)
  • 過去の放送を観ることで興味を持ちコミュに参加する人が増える
  • 放送が終わった後に生放送主がブログにアーカイブ動画へのリンクを張ることができる
  • 今後外部プレーヤーに対応することで、個人サイトに自分の放送のアーカイブをコンテンツとして残すことができる。
  • 生放送主が自分の過去の放送を放送中にVTRとして引用することができるようになる
  • 自分と同じ時間に放送していた別の生放送主の放送をあとでじっくり観ることができる。
  • タイムシフト視聴中もコメントできるようにすることで、非同期ではあるが生放送主がそれらを確認することでリスナーとのやり取りができる。
  • コミュニティの過去の放送への視聴リンクがコミュニティページに集まっているはずなので、コミュニティページの役割が大きくなる。
  • これまで「どんな放送なの?」と聞かれても紹介できなかったが、相手がプレミアムならURLを教えることで紹介できるようになる。
  • 新参が容易に話の話題に追いつくことができる
  • タイムシフトで録画されたものをニコニコ動画ミラーリングすることでコミュニティの宣伝ができる。
  • 観たい番組が同時に放送されても、あとで観れなかった方を観ることができる。
  • 有名な放送主が放送を開始しても、「後で観れる」のでマイナーな放送から途中で焦って退出する必要もない。ニコニコ生放送は視聴者が少なければ少ないほど、生放送主と直接対話できる機会が増えるので、逆に言えば視聴者が多い放送というのはタイムシフトで観ているのとさほど変わりがない場合がある。視聴者が多い放送はあとでじっくり観て、視聴者が少ない放送に専念できるようになる可能性がある。
  • 好きな時間に好きな番組が視聴されることによって、ニコニコ生放送全体のトラフィックの負荷を分散できる

今後実装する追加機能で他にも色々な可能性が出てくると思うが、基本的に便利になるということは確かだろう。

心配されること
先に紹介した記事には、リアルタイムで観る必要が無くなるので、いわゆる「番組はYouTubeで観ればいいじゃん」状態になるのを懸念しているようだ。確かにその可能性はある。リアルタイム視聴に更なるメリットが加わらない限り、タイムシフト機能によってユーザーもシフトされてしまうことになるかもしれない。だがこの問題はニコニコ生放送のユーザーが増えさえすれば解決するものだと思うし、今後ニコニコ動画が世界展開することも視野に入れると、「視聴者数」に関してはあまり悲観的に考えなくても良いのではないだろうか。あと、リアルタイムコミュニケーションを好むユーザーに関してだが、彼らはタイムシフト視聴では満足しないだろう。例えて言うなら音楽ライブに行くのとライブDVDを観るのでは差がありすぎるように。

本当の末期
ニコニコ生放送が終わるとすれば、それはユーザーコミュニティがなんらかの形で犯罪や事件に関わってしまう状況になった場合だ。これは本家ニコニコ動画への影響も大きい。残念ながらニコニコ生放送はその危険性のポテンシャルがかなり高い。ユーザーの個人情報の扱い方がひどいし、未成年に対しての教育も足りない。特に野外放送は一般人の顔やナンバープレートが映る。今まではアーカイブが残されなかったから証拠として残らなかったが、タイムシフトが導入されることで残ってしまう、これをどうするのか。運営サイドは7日間ルールで証拠が消えると甘く考えているのかもしれないが、7日間もあれば転載が容易になる。タイムシフトは今までライブ放送だったからこそ、隠すことができた負の部分を証拠として残してしまうデメリットもあることを是非考えてほしい。

最後に
始まったばっかりの機能は賛否両論になるのは自然だし、メリットと同じくらいデメリットがあって当たり前かもしれない。これからも増えていく新機能が薬になるか毒になるかは、やはりユーザー次第なのだろう。