ニコニコ動画の新機能候補「ニコニコポイント」が実現した件

ニコニコ動画」に10月から、有料のポイント制度「ニコニコポイント」が導入される。ニコニコ動画の有料コミュニティーやゲームの決済などに使うポイントで、クレジットカードやWebMoneyなどで購入できる。
ドワンゴが8月7日に公表した決算会見資料で明らかにした。赤字運営が続くニコニコ動画の収益化策の一環。

ニコニコ動画と3次元仮想空間「ai sp@ce」の共通ポイント。ニコニコ動画で10月にスタート予定のメダルゲームなど有料ゲームや、年内開始予定の有料コミュニティーの決済に利用できるほか、ai sp@ceのアバターアイテムを購入できる。
クレジットカードや、NTTドコモ端末の「ドコモケータイ払い」、WebMoneyで購入できるほか、「Yahoo!ウォレット」にも対応する。
ニコ動に有料ポイント「ニコニコポイント」 10月から

以下が自分が3月頃に書いた記事です。
ニコニコ動画の新機能候補「ニコニコポイント」を考える

ということで直接運営側の人に連絡を取ったことで、実現化することができました。これでニコニ・コモンズに続いて二つ目の実現例ということになりました。ユーザーがもっと沢山アイディアを作れば、実現してくれる可能性があるので、あきらめずアイディアを提供していきましょう。

記事を読む限りでは、Yahoo!ウォレットにも対応するようですので、投げ銭システムの実現は「ユーザー同士でのやり取りを可能にして、Yahooポイントに変換することが出来るようになれば、現金化は容易」ということになりますね。ヤフーとの提携は、はてなが途中であきらめた「ポイントの現金化」の作業をヤフーに任せることで、経営上のリスクを減らすことなんだと思います。投げ銭されたポイントのみがヤフーへポイント変換出来るようにすれば、クレジットカード対策もバッチリなわけですし、あとはユーザーの心理次第という所まで持っていくことができそうです。

ということで今回の記事では、ニコニコポイントをさらに掘り下げて、ポイントシステムを基点とした新たなビジネスモデルを考えていきたいと思います。実は以下の内容は一ヶ月程前にニコニコ動画運営側の鈴木慎之介氏に直接メールで届けたドキュメントをリメイクしたものです。なので、このアイディアの内容は一ヶ月以上前にすでにニコニコ動画運営側に認知されています。それを踏まえたうえでお読みください。

特に記していない限りこの記事で使われている画像はwww.gettyimages.com様からロイヤリティーフリーの条件に基づいて使用させていただいてます。スクリーンショットや、サイトのロゴなどは引用目的で使わせていただいてます。

ニコニコポイント2.0の提案

現状のシステムの難点
これまで、かなりネット上で議論されてきたことですが、ネットでの課金システム、投げ銭システムは、未だに定着化していないのが現状です。クレジットカードを持っていても、ネットでそれを使うのをためらう人もいるでしょう。ましてや、未成年がクレジットカードを持つことが法律上不可能である以上、現在のシステムはネットユーザーのほとんどを弾いていると思います。
寄付の仕組みを単純にする方法
今回「ニコニコポイント2.0」と名づけた理由は、根本的に違う課金システムを考えたので、別バージョンとして把握してくださればと思っています。
大きく分けて四つのパターンがあります:

  1. 動画上にQRコードを載せて、携帯電話で課金・寄付できる方法
  2. 動画ページから、寄付したい相手を選ぶ方法
  3. ポイントサイトで稼いだポイントを寄付
  4. クリエイター用のコンテンツ販売サイトを作る方法

(1)動画上にQRコードを載せる方法

この方法は主に公式動画など、予めドワンゴ側で色々用意できるようなコンテンツで適用できるものです。例えばペンギン娘というアニメが配信されていますが、動画の最後のエンドロール辺りに、QRコードを表示して、ユーザーがそこに携帯電話のカメラで読み込むことでアクセスすると、任意の額を寄付できるという仕組みです。そこについて自分が提案したいのは、各声優さんに毎週着ボイスを収録してもらって、それを寄付してくれた方のみがダウンロードできるという特典を用意することです。また、ダウンロードされる着ボイスはランダムにして、ユーザーはそれらを全部集めるといった楽しみもあります。具体的にどういった内容の着ボイスにするべきかというと、例えば「寄付してくださってありがとうです!」や、キャラクターによっては、いわゆるツンデレな感じで「べっ別に寄付してくれなくたっていいんだからね!…でも…ありがと」のような、ユーザーからの寄付に対するキャラクターの反応が収録されていると面白いと思います。

この方法は、もっと深い部分がありまして、このシステムの性質として、QRコードが動画に貼られていることによって、仮にその動画がニコニコ動画外に転載されたとしても、観ている人が日本に在住していて、携帯電話を所持している人物であれば、その人達にも寄付を問いかけている状態を作り出すことができる点です。また、今後QRコード自体が世界中に普及すれば、全世界の視聴者に寄付を問いかけることが可能です。P2Pや、BitTorrent等、どんなにアングラなプラットフォームに動画が再配布されようが、ビジネスチャンスを失わないというかなり画期的な方法だと思います。
(寄付総額の表示はニコニコポイントの単位でということになります。つまりこれは、ユーザーがポイントを買うステップを飛ばして直接QRコード経由で払うというシステムです)。
(2)動画ページから寄付したい相手を選ぶ方法
これに関しては、土台になる部分を説明しなければいけないので、少し説明が長くなります。
タグアカウント

新しくタグアカウントというシステムを導入し、クリエイターは自分のハンドルネームに該当するタグや、自分の作品名に該当するタグを運営側と相談しながら指定します。勿論、運営側と連絡を取り、クリエイターであることを証明することが出来なければタグアカウントを発行できません。ニコニコ動画上でひとつずつしか存在出来ない「タグ」を管理する権限を与えるわけですから、審査も必然的に厳しくなり、偽者が登録できないようにします。企業側も同様に自社の商品に関連したタグを選択して、タグアカウントを発行することが出来ます。MAD動画作者が寄付貰うことに対して許可するのかどうかも設定してもらいます。MAD動画などの作者は企業側の許可が下りない場合、寄付を貰うことが出来ないようにします。許可されている場合は、MAD動画作者は普通に寄付を受け取ることができるということです。
タグ検索機能
あるキーワード(タグになっているものとは限らない)を検索すると、そのキーワードに関連する「寄付が可能なタグ」をリストする仕組みです。


タグの検索窓は全動画ページに用意しておいて、ニコニコ動画上のどのページからでも、タグを指定することで、どの該当者にでも寄付することができます。こうすることで、構図として「動画に対価を支払っている」といった内容にはならず、「ピンポイントで誰かに寄付している」ことにしかなりません。
永井先生の場合

ネットで実況ゲーム動画配信している永井先生という方の動画などは、不特定多数のユーザーがボランティアでアップロードしていまして、永井先生自身はそれを承諾しています。永井先生自身はニコニコ動画には登録していますが、自分で動画をアップロードしたことが無いそうです。このような場合、永井先生自身がタグアカウントを取得しない限り寄付できないシステムにすればいいと思います。つまり、タグアカウント未登録のタグは、寄付できないということです。動画アップロード者ではなくても、権利者であれば寄付を受け取ることができる点は動画と作者を考え方から一旦切り離したから可能になるものだと思います。

企業への寄付は投資

企業への寄付は、基本的にコラボの資金に使われるようにします。例えば鳥居みゆきニコニコ市場のインストアライブイベントに呼ぶには、企画としてサンミュージックと話し合いをしなければいけないと存じます。勿論鳥居みゆき自身にとっては仕事であるため、ギャラは発生するべきで、要はこれらの資金をユーザーがいくらかスポンサーできないだろうかということです。自分はファンなので数千円寄付すると思います。鳥居みゆきがニコ動の文化にどう反応するのかが観たいです。また、コラボを行うことで、例えばインストアライブの場合、販促効果が期待できるし、鳥居みゆきにニコ動オンリーの着ボイス作ってもらったら売れるだろうし、その辺の収益は+αということになります。何より、ドワンゴサンミュージックがパイプを持つことで、今後両社とも他のコラボがしやすくなります。これが表面的な利点です。
内面的な利点は、今まで運営側の独断によって企画は発足されていた部分が、これからはユーザー自身が観たいコラボを自分達の力で決められるという所です。そこに新しい可能性があると思います。寄付する時に、Web拍手のようにコメントが残せるようにすれば運営側も、どういうコラボが要望されているかが分かるかと思います。
(3)ポイントサイトで稼いだポイントを寄付
PEX・ポイントエクスチェンジとは
様々なポイントサイトで貯めたポイントをひとまとめにして振り込めれば、手数料が節約できるのでは?というニーズの元誕生したサイトがこの二つのサイトで、様々なポイント系サイトと連携しているサイトです。他サイトのポイントと交換することで、貯めたポイントを一括で管理できる仕組みになっています。

http://www.point-ex.jp

http://www.pex.jp
ニコニコポイントと交換

ポイントサイトは、検索、数秒のゲームや広告クリックなどで、一日に平均5〜10円、無料会員登録を加えればその倍以上のポイントをゲットできます。しかし、銀行に振り込むとなるとそれなりに手数料が取られるわけで(上記のサイトにポイントを変換したとしても、振り込み手数料が掛かります)。例えば500円程度の場合、銀行に手数料取られるぐらいなら、ネットで消費してしまったほうが割に合うと思います。そこで、これらのポイントはせっかくデジタル形式なのだから、ニコニコ動画のポイントと交換して使えるようにすれば良いのではないかという考え方になります。
はてなポイント、ヤフーウォレットなどの存在も勿論無視できません。すでにある程度パイプを持っている企業とも連携することで、さらに可能性は広がります)
ニコニコ動画自体がポイントサイト化するのはNGだけど

「CMサイト」などのサイトは、動画広告を観ることで、1動画につき視聴者に1〜5円程度の広告収益を還元しています。かといってこれをニコニコ動画にやってほしいかというと微妙です。クリエイターへの寄付のために「広告を初めから最後まで観ると、ポイントが対象者に還元される」というのなら受け入れられるかもしれません。無料で寄付できるというのなら、それが一番理想なわけです。もう少し具体的に言うと、「広告」カテゴリーというのを用意して、企業の動画広告だけが揃う場所を作り、企業が寄付ページのバナーからのトラフィックを買うことで、その金額の一部をクリエイターに還元するといったような仕組みがあっても良いと思います。

(4)クリエイター用のコンテンツ販売サイトを作る方法
クリエイターが動画アップロードと同時に作品を販売できるシステム

ニコニコ動画で活動している色々なクリエイターが、動画やコモンズ素材としてアップロードする素材よりも画質や音質が高い物を、動画のアップロード前にいつでも販売できる状態にしておけるサイトです。ニコニコ市場と連動することで、作品をアップしたと同時に、市場に加えることができるため、再生数1の段階から、ビジネスチャンスがあることになります。通常数十万アクセスを超えてからでないと、ビジネス化しなかったコンテンツが、発表と同時に販売を開始できることにより、ユーザーが一番その作品に愛着を持っている時期(飽きる前)に購入してもらうことができるはずです。勿論、販売予定日はいつにでも設定することができ、動画アップ前に販売を開始することや、動画をアップしないという選択儀もあります。これにより、クリエイターのスタンスに合わせたコンテンツ販売が可能になります。
嫌儲への対処方法:アフリカの恵まれない子供達への募金を絡める

クリエイターサイドでも、ユーザーサイドでも、儲けることに関して偏見を持っている人は少なくないです。ましてや今まで応援してきたクリエイターが急にお金儲けを始めると、どのような混乱が待ち受けているか分かりません。ただし、一番良い方法として、クリエイターだけでなく、募金団体などを通した寄付を絡めることで、皆が納得できるようになると思います。例えば、「思いではおっくせんまん」も作詞者の件でどうなるのか最初ネットで騒がれていましたが、団体への「寄付」を行うことで皆納得しています。クリエイターサイドも、「自分の曲が売れれば売れる程、アフリカの子供達の空腹が満たされる」そういう意識があれば、販売することに肯定的になるのではないでしょうか。そしてユーザーサイドも、支払っているお金の何%かが、そういう目的で使用されるのなら、払っても構わないという人も多いと思います。
以下のサイトでは、募金のスポンサーになってもらえる企業を探しているようです。

http://www.peace-winds.org/
価格はユーザーが決める

最低金額が10円だとして、ユーザーが払う金額を1円単位で自由に決めれるようにします。例えば初音ミクの曲でしたら、ネタとして「39円」(ミク)というような払い方も可能なわけで、その作品単位で、「これまでの最高販売金額」を表示することで、競売に似たような「誰が一番高く買うかを競い合う」といった面白さもあります。その曲の総合的価値が数字になって現れるわけで、同時に「この作品から発生した募金額」を表示して、その作品がいかに社会貢献しているかが分かるようにすれば、色々な意味で社会全体から認められるようになると思います
寄付する募金団体を選べる
ドワンゴがしっかりした団体を選ぶのが必須になります。例えば、ユニセフジャパンはユニセフ本家とはまったく別の団体だというのが分かっています。「アグネスチャンに寄付したくない」といった人もいると思うので、権利団体は数種類の中から選べるようにしたほうが良いと思います。特に「ニート支援団体」っていう所への寄付も、賛否両論なようですし。
販売ページに動画を組み込める
ただし、例えば初音ミクのオリジナル曲の場合、動画を貼るとクリプトンの規約に引っかかるので、販売ページには初音ミクの名前やそれを連想させる文は記載できないようにするか、クリプトンと契約するなどをするとか、権利関係に注意する必要があります。
JASRACカバー曲も販売可能
同人音楽の森」のように、アレンジなどが自作なら、JASRACの曲でも販売できるようにしていくことで、今後ニコニ・コモンズで各レコード会社が、カラオケ素材を提供しだした場合、それにボーカルを乗せて歌ったものが販売可能になるような形にして、レコード会社サイドにもJASRACにもしっかり還元されるような仕組みが作れれば理想だと思います。

http://www.dojinongaku.com
着うたの販売もドワンゴがサポート
これまで二ワンゴが独断で再生数の多い動画の曲を着うた化してきましたが、これからは誰でも権利的にオリジナルであることを証明できれば、自作曲を着うた化することが可能になるようにします。これが予め販売がスタンバイしている形で作品発表ができれば、先ほど説明したように、予めQRコードを動画内に組み込んでおくことも可能です。
終わりに
今回提案させて頂いた各種アイディアは全てが上手くいくとは限りませんが、試す価値が十分あると思ったものだけを選びました。技術的に「これはできる」、「これはできない」といったリミッターを外した、もっと奇想天外なアイディアは色々思いついてるのですが、それらは今はゴミ箱の中です。例えばゲームセンターと連携して、プレーヤーがプレイした映像が自動的に録画され、ボタンひとつでネタバレ部分が省かれた動画を、ニコニコ動画にアップロードできるようにするというようなことを考えていますが、今の段階ではドワンゴにそれは無理なのではと思い、こういうアイディアはボツになっていきます。技術的に何が可能なのか、何が不可能なのか、教えてもOKな範囲で公表していただければ、それを起点としたアイディア作りが可能になると思います。

これからもニコニコ動画の運営を頑張ってください。応援しています。

Spyre(2008年7月8日)

という文を運営側に送りました

参照記事