ニコニコ動画の新機能候補「ニコニコラボ」

はじめに
「ニコニコラボ」はニコニコ動画上でアマチュアのクリエイターが仕事を募集したり、他のクリエイターに依頼をすることができる機能です。この記事では、どのようにしてこのシステムを機能させていくかを考えます。

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ニコニコ動画の文化の問題点1「流行に乗るしかない」
ニコニコ動画では特定のジャンル、例えば「東方プロジェクト」や「初音ミク」などの流行に乗っからないと、再生数が伸びないという傾向があります。同人業界でも同じようなことが言えますが、既存のキャラクターなどの知名度を利用しないと作品を観てもらえないという傾向があると思います。つまりユーザー独自のオリジナルキャラクターが作られるという文化が無いということです。

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ニコニコ動画の文化の問題点2「才能の欠片が評価されない」
今までのニコニコ動画というのは、「これどうよ」という作者の完成品に対して、ユーザーがそれに足す形で完成品に付加価値を加えていく二次創作という名のコラボレーションが主流で、それは「歌ってみた」だったり「PV化」という形で独自の文化を拡大していきました。しかし、「これどうよ」という段階の作品の二次創作の数というのは、その作品の完成度に比例しています。そして、「これどうよ」という一次創作の部分を製作するためのコラボというのは、ニコニコ動画ではあまり行われていないのが現状です。例えば作詞しかできない人は、コラボ相手を見つけない限り活躍できないということになります。世の中完成品を全て一人で仕上げられる人ばかりではないのです。例として初音ミクの分野では、作曲・作詞・編曲という知識と技術が最低限ないと一曲を発表するに至らないわけで、その時点で作詞しかできないというような人材は切り捨てられてしまいます。

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ニコニコ動画の文化の問題点3「待機している人材が入って来れない」
ニコニコ動画の外には、沢山の方が常時お仕事を募集しています。私自身音楽活動の過程で編曲やボーカルを他者に依頼する立場にあるのですが、これらの人材は極めて見つけにくく、また見つかりにくいのが現状です。ニコニコ動画には独自の文化があり、それに慣れていないクリエイターも沢山いるので参加しにくいという側面があります。

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仕事を募集し合う場所を作る
ニコニコ動画内で仕事を募集するセクションがあれば、それを目的とした形で参入してくるクリエイターが現れてくると思います。有償でのお仕事を募集したり、知名度を上げるためにまずはボランティアという形で無償でお手伝いする方も出てくるでしょう。音楽の場合は、楽曲が発表される前の段階、つまり作曲や作詞、アレンジやボーカルといった部分を募集する文化が生まれ、そして作品完成後、今まで同様「歌ってみた」や「PV化」といった二次創作の拡がりを見せる可能性があります。

ニコニコラボ では、これらのコラボレーションのやり取りや製作過程などをコンテンツ化していくことで、コラボレーションをエンターテイメント化していくと共に、ビジネスモデルとして成り立たせることを目指します。

ニコニコラボの仕組み
ここでは理解のしやすさを重視するためリスト形式で説明します。

  • 依頼主が募集している人材の詳細を記入欄に書き込む
  • あるいは仕事を募集しているクリエイターが自らのスキルの詳細を書き込む
  • それらを元に簡単なWikiページのようなものが作成可能
  • 有償の仕事の場合、ニコニ・コモンズと同様に金銭的な交渉はニコニコ動画ではない場所でやってもらう
  • 作品の製作に関してはやり取りをWikiに蓄積される形で、できる範囲で公開してもらうか、現時点での進行状況を報告してもらう。
  • ユーザーは進行中のコラボをニコニコポイントで支援することが可能
  • ニコニコラボというカテゴリータグを作る
  • ニコニコ動画のランキングページにニコニ広告枠を設ける
  • コラボページに蓄積されたポイントは完成動画発表時にニコニ広告用のポイントとして利用可能。
  • 通常のニコニ広告と違って、ニコニコ動画ランキングページの枠で宣伝できる
  • 通常のようにタグを指定した形で宣伝することも可能
  • ただし蓄積されたポイントはそのコラボ作品の宣伝にしか利用できない

このようにすることで、仮に作品が既存のキャラクターを利用していない完全オリジナル作品であっても、ニコニコ動画ランキングページで宣伝することは効果的かと思います。コラボレーションという文化を拡げるための特別広告枠ということでランキングページを利用します。TOPページにも優先的にランダム表示されるのも良いかもしれません。

通常のニコニ広告との違い
ニコニ広告は通常、完成品に対して支援することを前提にしています。ニコニコラボをポイントで支援することは、未完成品が成熟する過程を見守りながら支援していくという違いがあります。例えばイラストだったらコラボページ上には依頼者の要望が記載してあって、その後ラフスケッチが投稿され「これで良いですか?」というようなやり取りが行われる。「髪の毛の色はどんなのが良いですか」など、どんどん試行錯誤しながら作品が作られていく。それをユーザーは注視していて、依頼主が許せばコメントでアドバイスも可能なので、第3者が直接製作に参加していくことも可能という側面があります。

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仕事の種類
仮にこの機能が実装された場合、存在し得る仕事の種類というのをリストしてみます。
音楽

  • 作詞
  • 作曲
  • アレンジ(編曲)
  • ボーカル
  • ミックス・マスタリング

2D

  • イラスト
  • 色付け
  • 写真加工
  • 漫画
  • 似顔絵
  • トレードマーク・ロゴ

3D

ウェブ

動画

  • 2Dアニメーション
  • 3Dアニメーション
  • 動画編集

音声

  • ナレーション
  • セリフ
  • ラジオ

文章

  • ノベル

完成品が動画にならない場合
上記のリストを見ても判るように、例えばホームページ製作に関しては、動画化できないわけで、支援ポイントを貰ってもあまり意味がないということになります。このように、種類によってはニコニコポイントの支援が不要になる場合、なんらかの違うポイントの利用方法を用意するなどの方向も考えてみなければならないかもしれません。個人的にニコニコ動画で公開するという目的ではないコラボの場合、次のコラボに繋がるきっかけを増やすという付加価値があると良いのではないかと思います。このあたりは、実際に多人数で議論しないといけない気がするのでそんなに深くは述べません。

ニコニコラボの可能性
ニコニコ動画内で雇用が生まれ、その過程がエンターテイメント化してニコニコ動画内のコンテンツとして発展するというのは想像しただけでもワクワクします。「仕事がないなら作っちゃえ」ということになりますが、ニコニコ動画での発表が前提でも前提でなくても、ユーザー達が協力して何かを作る素晴らしさというのが目に見える形で惜しみなく公開されるというのは、今までのニコニコ動画には無いものだと思います。私の場合は十中八九、曲のアレンジを依頼する側としてお世話になるのではないかと思います。

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あとがき
今まで色々提案してきましたが、戀塚さんや開発陣の方々がこういう一般のブログ記事を軽視しないで読んでくださっていることに改めて感謝します。私自身少ない知恵を絞ることしかできませんが、これらが何かのヒントとなって、ニコニコ動画の成長に繋がることになれば幸いです。